くろこ

くろこ とは、じゃがいもからでんぷん(かたくり粉)をとった絞りかすを、凍結と発酵によってもう一度食材に加工した保存食品です。くろこの製法が行われ、現在も食されているのは全国で嬬恋村だけで、嬬恋村で生まれた純然たる郷土料理です。明治2年(1869)頃から作られていたと考えられています。

くろこが生まれた背景

嬬恋村の現在の特産物といえばキャベツが有名ですが、田代の松本相秀さんが明治29年(1896)に記述した『いもの原由記』によると、天明期(1781~1788)に入ってきたじゃがいもは、天保15年(1844)には松本家で50俵を生産し、当時田代村ではじゃがいもから取れるかたくり粉を特産物として現金収入の大きな柱にしていたことが記されています。凶作に虐げられた天明期に嬬恋村に入ってきたじゃがいもは冷涼気候に強く、救荒作物として重宝され、その後、長期にわたり主力作物として、嬬恋村の産業を支えてきました。あまり知られていませんが、キャベツが有名になるずっと前から、じゃがいも、馬鈴薯と言えば嬬恋村が本場なのです。 開拓の頃 そして『いもの原由記』には、“夫より明治二巳年不作にて、 粟 稗 蕎麦実法らさるに芋大に当り 当村□に通し 右巳年より芋志ほりかす一切捨ず喰事に用ひ候又は売候事に相成今は少しも捨る者なく食に用る事と相成候”とあります。決して豊かな土地とは言えなかった火山灰土の浅間野を開拓した先人達は、でんぷんを採取した後のじゃがいもの絞りかすをも食材として有効に利用しました。現在の私たち嬬恋村民は、このような先人による暮らしの知恵によって今に継続されてきたとも言えるでしょう。


くろこの価値

一般的に、郷土色のある名物料理を郷土料理と言いますが、地方特産の食材で地方独自の調理法で作った、純然たる郷土料理は全国的にも稀なのだそうです。また、でんぷんを採取した絞りかすには、大量の食物繊維が残っています。これがくろこの主要成分ですので、美容健康食品として大変優れた食材です。しかも100%天然素材でつくる安全な食品、そして(じゃがいもの)育て方と(くろこの)作り方のレシピさえあれば、誰でも手軽に自分でつくり楽しむことができ、現代の「スローライフ・スローフード志向」にも応えてくれる、まさに現代社会の待望の食材なのです。